蓄電池の販売・施工に携わっていると、「性能や価格はどこも似たり寄ったり」「最後は値引き合戦になってしまう」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。実は、蓄電池そのものの性能だけでなく、「導入後にどう賢く使わせてあげられるか」という運用面の提案は、まだ多くの販売店・施工店が手をつけていない差別化ポイントです。この記事では、デマンドレスポンス(DR)とAIによる充放電の最適制御という切り口から、提案力を高めるヒントを紹介します。
経済産業省・資源エネルギー庁の資料によれば、国内の家庭用蓄電池の普及率はまだ数%程度にとどまるものの、2023年度の出荷台数は前年比114%と伸びており、2030年に向けて導入がさらに進むと見込まれています。市場が拡大するということは、当然ながら競合の参入も増えるということです。パネルやパワーコンディショナの性能スペックだけで勝負する提案は、今後ますます価格競争に飲み込まれやすくなります。
デマンドレスポンスとは、電力の需給バランスに合わせて、電気を使う側が使用量を調整する仕組みのことです。蓄電池はこのDRと非常に相性のよい設備であり、電力会社の多くが蓄電池を対象にしたDRプログラム(参加でポイント還元や電気料金の割引が受けられるもの)を提供しています。
ただし、実際の充放電の最適なタイミングは、電気料金プラン・太陽光の発電予測・天候の急変・EVの充電残量など、複数の変数が絡み合っており、施主が手動で管理するのは現実的ではありません。ここに、販売店・施工店として提案できる付加価値があります。
| 一般的な蓄電池制御 | AIによる最適制御 | |
|---|---|---|
| 制御の単位 | 1日単位のスケジューリング | 30分ごとに計画を再計算 |
| 天候急変への対応 | 基本的に対応不可 | 気象予報と連動して再計算 |
| EVとの組み合わせ | 個別最適化が難しい | 蓄電池+EVをまとめて最適化 |
| 施主への見える化 | 機器付属のモニターのみが多い | 専用アプリで稼働状況を確認可能 |
出典:インフォメティス株式会社「蓄電池AI最適制御システム」サービス説明(公式サイト)を基に作成。
こうしたAI最適制御機能は、蓄電池メーカーや販売会社が自社でゼロから開発する必要はありません。すでに、東京電力グループのエナジーゲートウェイとインフォメティス株式会社が共同開発した「蓄電池AI最適制御システム」などが、蓄電池メーカー・販売会社向けに提供されており、ECHONET Lite規格に対応した各社の蓄電池に組み込む形で導入できます。自社ブランドの提案メニューに、開発コストをかけずに「AI制御」という付加価値を加えられる点は、中小規模の販売店・施工店にとって現実的な選択肢です。
AI最適制御を提案に組み込むメリットは、単価アップだけではありません。稼働状況を見える化するアプリを通じて、施工後も施主との接点を保ちやすくなり、「導入したのに思ったより効果が出ていない」といった不満やクレームを未然に防ぐことにもつながります。価格の見積もり合戦になりがちな商談の中で、「導入後の運用まで含めてサポートする」という提案は、他社との差別化ポイント になり得ます。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としています。導入条件や対応機種は提供元の最新情報をご確認ください。
インフォメティスは、蓄電池メーカー・販売会社向けにAIによる充放電最適制御の技術を提供しています(既存の蓄電池単体を後から制御する形ではなく、新規に販売する蓄電池に組み込む形での提供です)。各家庭の消費電力や太陽光発電量、天候、契約中の電気料金プランをもとに、30分ごとに充放電計画を自動で見直す仕組みで、蓄電池メーカーのエナジーゲートウェイ(東京電力グループ)を通じて2021年から提供されています。自社の蓄電池提案に、開発コストをかけずに「AI制御」という付加価値を加える選択肢として、参考にしてみてください。
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