デマンドレスポンス(DR)の導入にあたり、自社開発(内製化)を進めるべきか、専門のDR支援会社を利用すべきか迷う小売電気事業者は少なくありません。
結論から言えば、容量拠出金の削減スピード・確実性・信頼性を考慮すると、DR支援会社を利用するのがおすすめです。
本記事では、DR支援会社を利用するメリットをさらに深掘りしつつ、プロの視点から導入前に必ず知っておくべき注意点と失敗しない選定ポイントを詳しく解説します。
カテゴリトップで触れた「専門性」「スピード」「確実なピークカット」「信頼性高い効果計算」について、実際の現場でどのように役立つのか、より具体的に解説します。
電力市場のルールは、容量市場の制度設計の変更や市場ルールの高度化など、毎年大きく変化しています。
自社開発システムの場合、これらのアップデートに対応するための改修費用やエンジニアの工数が重くのしかかります。DR支援会社の提供するSaaS(クラウドサービス)を利用すれば、法改正に合わせたシステムアップデートが基本的にはベンダー側で自動的に行われるため、保守・改修の大幅な追加コストを抑えやすくなります。
手動でメールや電話を使って節電をお願いする「行動誘発型DR」だけでは、削減量に限界があります。
最新のDR支援会社は、蓄電池、EV、スマート空調などのIoT機器と直接API連携し、人間の手を介さずに設備を制御する「自動DR(機器制御型DR)」のプラットフォームを持っています。
これにより、自社だけでは実現が難しい高度なVPP(仮想発電所)構築の足掛かりを、短期間で得ることができます。
多くのDR支援会社は、需要家(一般消費者や法人)向けの専用アプリやマイページを提供しています。
メリットが多い反面、外部のリソースに依存することによるリスクも存在します。導入後に後悔しないためにも、以下の注意点を把握しておきましょう。
パッケージ化されたSaaSを利用する場合、自社独自の複雑な料金プランや特殊なポイント還元ルールをシステムに反映できない(カスタマイズ性が低い)ケースがあります。
また、一度特定の支援会社のシステムに深く依存してしまうと、他社システムへの乗り換えが困難になる「ベンダーロックイン」に陥る危険性があります。将来的な拡張性や、データのエクスポートが可能かどうかを契約前に確認することが重要です。
BPO(運用代行)サービスは非常に便利ですが、戦略立案から需要家対応まですべてを支援会社に丸投げしてしまうと、自社内にDR運用のノウハウが一切蓄積されません。
将来的にDR事業を自社のコアコンピタンス(中核的な強み)に育てていくためには、分析や戦略立案のフェーズには自社の人材を積極的に参画させるなど、伴走型の支援を依頼するべきです。
システムの月額利用料やBPOの手数料が、DRによって得られる収益(拠出金削減額や市場供出益)を上回ってしまっては本末転倒です。
さらに、需要家に支払うインセンティブ(ポイントや還元金)の原資をどのように負担するのか、支援会社へのシステム利用料と合わせて厳密なシミュレーションを行う必要があります。
なお、インセンティブの計算にあたっては、その算出システムの信頼性も重要です。
最後に、自社に最適なパートナーを選ぶためのチェックポイントを挙げます。
DR支援会社を利用することは、容量拠出金の負担増という課題への対策になります。
しかし、そのメリットを最大限に引き出すためには、カスタマイズ性の限界やノウハウ蓄積の課題といった注意点を理解し、自社の事業戦略にフィットするベンダーを見極めることが不可欠です。
複数社のサービスを比較検討し、自社のリソースと予算に見合った適切なDR運用体制を構築しましょう。
デマンドレスポンスの導入を検討する企業向けに、システム型・PPS代行型・コンサルティング型といった支援形態別で、厳選した支援会社をご紹介します。
比較・検討の参考としてご活用いただければ幸いです。


