電力需給のバランスを維持するため、需要家側の消費パターンを制御するデマンドレスポンス(DR)。小売電気事業者にとって、この需要制御はJEPX(日本卸電力取引所)のスポット価格高騰の対策手段であり、同時にカーボンニュートラルへの貢献を示す付加価値サービスでもあります。
需要制御の方法は、大きく分けて「電気料金型」と「インセンティブ型」の2つに分類されます。これらは制御のトリガーや需要家へのアプローチが根本的に異なるため、それぞれの特性を理解することが重要です。
電気料金型は、時間帯や市場価格に応じて電気料金単価を変動させることで、需要家の自発的な行動変容(電力シフト・抑制)を促す制御方法です。
昼間と夜間など、あらかじめ設定されたスケジュールに基づいて単価を変える手法です。需要家は日常のルーチンの中で消費時間をずらすことができ、最も導入が容易な制御方法と言えます。
時間ごとに変動する卸電力市場価格を直接料金に反映させます。価格が高い時間帯に需要を抑制させるインセンティブが働きますが、需要家側にはスマートホーム機能や自動制御設備との連携が強く求められます。
年間で数日程度、需給が極めて逼迫する時間帯に限定して高額な料金を設定します。ピークカット効果を狙う有効な手法です。
インセンティブ型は、事業者からの要請に対して節電などの協力を行った需要家へ、対価として報酬(ポイント等)を支払う制御方法です。
需給逼迫時に「節電」を依頼し、平常時の消費量(ベースライン)からの削減分を評価します。ネガワット取引(削減した電力量を価値として取引)として市場へ供出することで、事業者は容量市場等からの収益を期待できます。
再エネの出力制御が予測される際、「電気を多めに使ってもらう」ことで系統の安定化を図ります。蓄電池への充電やエコキュートの昼間沸き上げなどが主な制御対象となります。
これら2つの需要制御を効果的に運用するには、単なる「お願い」にとどまらない技術的・制度的な基盤が必要です。
特にインセンティブ型では、「もし節電していなかったらどれだけ使っていたか」という推計値(ベースライン)の算出が不可欠です。High 4 of 5(過去実績から上位4日を採用する方式)等の複雑な算定ロジックを正確に運用し、需要家ごとに納得感のある数値を提示しなければなりません。
人手に頼った制御では、発動までのタイムラグや応答率の低さが課題となります。OpenADR等の国際標準プロトコルを用いた遠隔自動制御を導入することで、制御の速応性と確実性を担保することが可能になります。
デマンドレスポンスの需要制御は、電気料金型とインセンティブ型を組み合わせて運用することで、より高い効果を発揮します。しかし、市場ルールの頻繁な変更や、膨大な需要家データを処理するシステムの構築、さらにはリソースアグリゲーターとしての市場拠出実務を自社のみで完結させるのは容易ではありません。
デマンドレスポンスサービス導入支援会社に相談すれば、最新の市場制度に準拠したシステムや、需要家の参加意欲を高めるUI/UXデザイン、さらには複雑な報酬計算の自動化まで、サポートしてくれます。
早期に収益化を図り、競合他社との差別化を実現するためにも、まずはDR運用のプロフェッショナルの知見を借り、自社のビジネスモデルに最適な需要制御の形を模索することをおすすめします。
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